「置かれた場所で咲かなくてもいい。輝ける場所を見つけて」
(〜アカルヒメ様のプロローグ〜)
「海を越えて、新しい居場所を探しに来た。
自分を大事にしてくれない人とは一緒にいたくないから。
きっとここには私にぴったりの場所があるはず!」
(イラスト:琥ルリけいこさん)
…こんにちは! 守護神鑑定&占い◆白樺の騎士団です。
予告通り、「神様図鑑」のリニューアル版をお届けします!
記念すべき第1回のゲストはアカルヒメ様です!
今回は、この女神様の魅力を紹介していきます。
プロフィール◆新羅から来た太陽女神
アカルヒメ様は新羅(しらぎ=現代の韓国)から日本へ渡って来た女神様です。
赤い玉(赤い宝石)の化身で、太陽を司る神様として知られています。
お名前の「アカル」は漢字にすると「赤る・明る」で、「赤らむ・明るくなる」という意味です。(つまり「アカルヒメ=赤く色づく女神」と解釈できます)
現在は大阪の赤留比売命神社や姫嶋神社で、自立しようと頑張る人や新しい生き方を模索する人を見守っているとのことです。
【プロフィールまとめ】
◆出身地…新羅(しらぎ=現在の韓国)。のちに日本へ移住。
◆なんの神様?…太陽の女神。織物の女神という説もあり。
◆御利益・御神徳…再起復活、女性の開運招福、女性の心願成就、美人祈願など
◆関係のある神様…住吉の神、神功皇后
◆特記事項…赤い玉(赤い宝石)の化身。(詳細は後述)
神話①「”赤い玉の化身”ってどういうこと?」
『古事記』に載っている「赤い玉が乙女の姿(アカルヒメ様の今のお姿)に変身したエピソード」をご紹介します。
①新羅の沼のほとりで昼寝をしていた女が日光によって妊娠し、赤い玉を生む
↓
②その様子を見ていた男が女に玉をもらい受ける
↓
③男が玉を腰につけて山に入ろうとした際、新羅の王子と出会い口論になる
↓
④王子に許してもらうために男は玉を渡し、王子はそれを持ち帰った
↓
⑤家の床に置くと、玉はたちまち美しい乙女の姿に変身(これがアカルヒメ様!)
↓
⑥王子は乙女と結婚する
“赤い玉の化身”に関する詳細、お分かりいただけましたでしょうか?
「太陽の光で妊娠する話(=日光感精神話)」や「人が玉や卵を生む話(=卵生神話)」は日本神話にはないので、新鮮ですよね。
アカルヒメ様の結婚後の物語は次の項目をご覧ください。
神話②「なぜ日本へ来たの?」→「離婚&自立のためです」
アカルヒメ様が日本へやって来ることになった経緯は下記をご覧ください。
【前回までのあらすじ】昼寝中の女性が日光によって妊娠し、赤い玉を生んだ。紆余曲折を経て、玉は最終的に新羅の王子の手に渡った。王子の目の前で玉は美しい乙女の姿に変身し、ふたりは結婚することになったのだが…
詳細は、神話①「”赤い玉の化身”ってどういうこと?」をご覧ください。
①結婚後、乙女(=アカルヒメ様)は王子に毎日おいしい食事を用意した
↓
②しかし徐々に王子は感謝の心を失っていき、乙女に暴言を吐くようになる
↓
③乙女は「私はあなたの妻になるべき女ではない。祖先の国に行く」と言って、小船で日本へ向かう
↓
④王子が追いかけてきたが、渡りの神(=住吉の神)の助けによって乙女は逃げきることができた
↓
⑤最終的に乙女は日本の難波(なにわ=大阪)にたどり着き、そこに移住する
アカルヒメ様が日本へ来たのは、夫と別れて自立するためだったのです。
では、移住地に難波を選んだのはなぜでしょうか?
難波(大阪)に移住した理由
理由は2つあると思います。(※騎士団の見解)
①当時、難波は「太陽の聖地」と言われていたので、太陽神であるアカルヒメ様にとって居心地がよかったから。
②保護者的な存在である住吉の神が難波にいたから。
【①に関する解説】
古くから、難波という地は日の御子や太陽女神(=天皇家の関係者)と強い絆で結ばれてきました。
それが「太陽の聖地」と見なされている理由です。
難波は神武天皇が船で目指した場所であり、神功皇后と応神天皇が新羅征討後に帰ってきた場所でもあります。
天皇の即位儀礼の1つ「八十島祭(やそしままつり)」も、ここで行われました。
ちなみに「難波」という地名の語源は「ナルニハ」という古代朝鮮語です。
「ナル」は「太陽」を、「ニハ」は「庭」を表し、「ナルニハ」は「太陽の庭=太陽の聖地」を意味します。
【②に関する解説】
前述の通り、住吉の神は夫から逃げるアカルヒメ様を守ってくれました。
一説によると、ふたりは親子だと考えられているそうです。
もし親子ではなかったとしても(1)神話でのアカルヒメ様の発言(「祖先の国へ行く」)と(2)住吉の神が渡来系の神であることを考えると、ふたりの間に親族的な関係がある可能性は高いと言えます。
太陽の聖地で優しい身内と暮らせるようになり、アカルヒメ様は嬉しかったのではないでしょうか。
住吉の神と神功皇后
アカルヒメ様の周辺の神々を簡単にご紹介します。
【住吉の神】
航海を司る神様です。
平安時代以降は和歌の神様としても活躍しました。
底筒男(ソコツツノオ)、中筒男(ナカツツノオ)、表筒男(ウワツツノオ)(※)という3兄弟の神様をまとめて「住吉の神」あるいは「住吉大神」と呼んでいます。
彼らはイザナキが黄泉の国から戻った後に行った禊の際に生まれた神々です。
次にご紹介する神功皇后の神話にも登場するので、そちらもぜひご覧ください。
※お名前の表記は文献によって異なります。
【神功皇后】
リーダーシップがあり、強いパワーを持っていることから「地上のアマテラス」と呼ばれている女神様です。
住吉の神からのご神託によって、新羅へ出征しました。
戦いの際に産気づき、出産を遅らせるために石でお腹を押さえたエピソードが有名です。
後に筑紫(つくし)の国で応神天皇を出産しました。
彼女の母方の先祖は新羅の王子(アカルヒメ様の元夫)だと言われています。
アカルヒメ様からこの記事を読んでいる方へのメッセージ
メッセージは下記の通りです。
「場所を変えても大丈夫。
同じ所に根を張らなくても大丈夫。
自分が輝ける場所に行けばいい。
環境に合わせるのではなく、自分に合った場所を選び、(自分の人生を)カスタマイズしていこう」
今いる場所に違和感を覚えたときは、ぜひこのアカルヒメ様の言葉を思い出してみてください。
あなたがアカルヒメ様のように、自分らしく輝ける場所にたどり着けますように!
参考文献・参照したWEBサイト
・「赤留比売命神社(三十歩神社) 大阪市平野区」(「いにしえの都」日本の神社・パワースポット巡礼)
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(〜アカルヒメ様のエピローグ〜)
「たどり着いた場所は、私にとって最高の地だった。
過去のことはもう考えない。
私はここから新しい人生を始める!
だからあなたも、勇気を出して飛び出してみて」
…リニューアルした神様図鑑の第1回、いかがでしたか?
神様の魅力を最大限にお伝えできるよう、これからも頑張って執筆していきます!
次回もお楽しみに(*^^*)
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
守護神鑑定&占い◆白樺の騎士団でした!